前略おふくろ様
気が付いたら、家を出て暮らした時間が、親と一緒に暮らした
時間より長くなった。
若い時は、年に2,3回しか会わないという時もあったが、最近は
なるべく時間を作って帰ることにしている。
帰るたびに思うのが本当に歳を取ったなぁと思う事。
高校の時よく観ていたTVドラマに「前略おふくろ様」というのがあった。
好きだったショーケンこと萩原健一が主演のドラマである。
脚本は「北の国から」の倉本聰。
その中でこんなシーンがあった。
東京で働くサブ(萩原健一)のところに長男の一郎兄さんが訪ねてくる。
サブたちのおふくろさん(昭和の大女優田中絹代)が家を出て、ひとり
住み込みで働いているという。68歳である。
事情をよく聞くと、夫に早くに逝かれて女手ひとつで一人前に育て上げた
8人の息子達は、おふくろさんを邪魔者扱いにして誰も一緒に暮らそうとしない。
おふくろさんは息子達を察して、働きに出て行ったというのである。
サブは吐く。「誰のおかげで大きくなったんだ。」
そう言うサブも東京で半人前の板前として働いていて、とても
引き取れない状況である。
一郎兄さんがサブにおふくろさんに手紙を書けと言う。しかしサブは言う。
「手紙は書けない。口先だけのなぐさめなんて、とても書けない」と・・・。
そんなシーンだった。
「誰のおかげで大きくなったんだ」
なるべく一緒の時間を作りたいと思っている。
「前略おふくろ様」
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