2014年11月29日

高倉健と山本周五郎

高倉健の訃報から数日。

すこしショックでした。

健さんの映画は任侠ものはあまり観てなくて

それ以降はよく観ました。

遺作の「あなたへ」も公開当時すぐに観に行きました。

いちばん好きな映画は「幸せの黄色いハンカチ」でしょうね。

詳しくは拙記事 こちら 

健さんが座右の書としていたのが

「山本周五郎が描いた男たち」 木村久邇典著、グラフ社

人間性の真実に迫り、数多くの名作を生んだ山本周五郎の小説に登場する

誇り高き男たちの生き様・信念を描いている作品。(実は私は読んでいません)

現在古書相場で呆れるほどの高値が付けられている。

わたしが持っている本は、こちら

「泣き言はいわない 」(新潮文庫)

つねに弱い者の側に立ち、世間の権威に背を向けた立場から独自の文学世界を
切り開いた山本周五郎。人間の“生"を真正面から肯定し、真摯に生きることの尊さを力説して、
今なお多くの読者の魂をゆさぶり続ける。
その全著作より、人間の真実を追い求めた著者ならではの、重みと暗示をたたえた
心にしみる言葉455を抽出。
人生に迷う老若男女に、生きる勇気と指針を与えてくれる名言集。

その中からひとつ

一歩ずつの人生
 「なにごとにも人にぬきんでようとすることはいい、けれどもな、人の一生は長いものだ。
 一足跳びに山の頂点へあがるのも、一歩、一歩としっかり登ってゆくのも、結局は同じ事に
 なるんだ。一足跳びに上がるより、一歩ずつ登るほうが途中の草木や泉や、いろいろな
 風物を見ることができるし、それよりも、一歩、一歩をたしかめてきた、という自信をつかむ
 ことのほうが強い力になるものだ」 -ながい坂より-

   

  


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2014年09月05日

読書日記 8月 2014

夏の読書

①「安井かずみがいた時代」   島崎今日子 著

  加賀まりこの流れ。林真理子、コシノジュンコ、金子國義、ムッシュかまやつ、
  吉田拓郎、肉親である妹、最初の夫に至るまで、彼女の人生に関わった
  様々な人々へのインタビュー集。
  加藤和彦と「理想の夫婦」と呼ばれ、思われてた二人の実情が何とも言えない。
  また拓郎や、加賀まりこの冷静な分析がおもしろい。

②「小説 田中絹代」 進藤兼人 著
 
  大女優田中絹代を赤裸々に描いた、彼女の壮絶な人生の物語。死ぬまで女優ー田中絹代の
  スタイルを崩さず生きた孤高の人生。溝口健二のファンは必読。この本を読んだ後は
  高峰秀子の「わたしの渡世日記」をお薦め。

③「ディズニーランドが日本に来た! 「エンタメ」の夜明け」 馬場康夫 著

  ディズニーランドに関係する、因縁の糸で結ばれた日米3人のプロデューサーの物語。
  エンタテインメント・ビジネスのおもしろさ、3人のプロデューサーの人間に対する洞察。

 
④「無理難題「プロデュース」します」  早瀬圭一 著

  前作の中で、特に小谷正一に非常に興味を持ったので。小谷正一、たまらなく最高。

⑤「新編・特攻体験と戦後」 島尾敏男 吉田満 著

  「特攻死」を目前に生き残った若者たちは、何を思い、戦後をどう生きてきたか。
  強烈なリアリティ。言葉の力に圧倒。


       
  


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2014年08月02日

読書日記 7月(2014)

7月の読書

①「純情ババァになりました」  著 加賀まりこ
  「媚びない女優」加賀まりこのエッセイ。人としてかっこ悪いこと、
  みっともないこと、恥ずかしいこと等、彼女の美学、勉強になりました。
  自分に正直に生きる事、厳しく生きる事、そして、自分を信じて生きていく事の
  大変さと大切さが身にしみます。
  決して損得勘定で人とつきあわない、これが一番学んだことかな。
  同じ女優の高峰秀子さんや加賀さんのような人は、人にも厳しいし、
  一緒にいると緊張する人だろうが、こういう人が実は、
  一番大切な人ではないかと思った。

②「アッコちゃんの時代」  著 林 真理子
  バブルの時代の馬鹿男と馬鹿女の物語。小説だけどほとんどノンフィクション。
  しかし、田舎出の土地成金は、どうしようもない、品のない馬鹿だね。
  昔、一万円札で煙草の火をつけた馬鹿がいたけどほとんど同じ。
  そんな馬鹿とつきあう女もどうしようもない。
  金持ちのバカ息子の方は、さすがに育ちがいい分、イタリアやフランスの
  バカ息子を思いだたせる。
  著者も、ここに出てくる登場人物を完全に馬鹿にしていると思えるし、ほめ殺し的手法。

③「小説家 」  著 勝目梓
  勝目梓氏、初の自伝的小説 。
  「すべてが場当たりだった。努力と忍耐を避けてきた。向上心にも背を向けてきた。
   漂い流れるように生きてきた。せめて目先のことであっても面白いことが欲しい。
   それさえあれば生きていける。」 ドキっと胸にささった。

   
  


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2014年07月10日

読書日記 6月(2014)

6月に読んだ本

①東京アンダーワールド  著 ロバート ホワイティング

 日本の戦後裏面史。高度成長の裏にはこんなことが。日本の繁栄の陰には・・・。
 まさしく「事実は小説より・・・」。映画のようにおもしろく読めた。

②東京アウトサイダーズ  著 ロバート ホワイティング

  東京アンダーワールド の続編。

③東京アンダーナイト   著 山本信太郎

 半世紀前、“東洋一”と謳われたナイトクラブ「ニューラテンクォーター」
 ここで歌ったスターは、ナット・キング・コール、ルイ・アームストロング、サミー・デービス,Jr等々の
 世界のスター達。ご贔屓の客も石原裕次郎、美空ひばり、勝新太郎、高倉健・・・。
 昭和という時代がある一面覗けます。
 私はこの世界より六本木の「キャンティ」の文化に憧れます。そちらに興味がある方は
 こちらを ⇒ 「キャンティ物語」 著 野地 秩嘉

④ヴェテラン 著 海老沢泰久
 
 プロ野球の世界で、職人芸の心意気とプロフェッショナルな心を持ったヴェテランの
 晩年のお話し。しかし、どこの世界でもこういう人は決していい目にあわない。

   
  


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2014年06月01日

読書日記 5月(2014)

①「世界堂書店」 米澤 穂信 著

   米澤穂信が世界の名作から厳選した短編小説。アメリカ、イギリス、フランスはもちろん、   
   中国、フィンランド、ギリシアなどなど、世界中から選び抜いた珠玉のアンソロジー。


②「日本の弓術」 オイゲン ヘリゲル 著

  西欧の徹底した合理的・論理的な精神と日本の非合理的・直観的な思考の分析。

  
③「エセー」 モンテーニュ 著

  フランスの思想家の論考。自己否定でもなく、自己を正当化するのでもなく、自己を肯定するという
  考えに確信を持つ。

  
  「幸せについて   幸せはすべて、その人の心の中にしかない。どこかに探してあるものではなく、
              その人が決める問題である。」

  

【今日のひとこと・ひとりごと】
自分は自分であって、自分以上でもなければ、自分以下でもない
 
  


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2014年05月02日

読書日記 4月(2014)

①「あなたの想い出」      高平哲郎 著

20代の時に彼の本を読んで以来のファンであり

文章の書き方が好き。

この本は、彼が出会った人達(みんな素敵な人達であり、私の大好きな人達で)の

人間味あふれる姿、愉快なエピソード満載のエッセイである。

②「みんな不良少年だった」  高平哲郎 (著)

③「星にスイングすれば 」   高平哲郎 (著)

20代の時に読んだ本を書棚から引っ張り出し、読みました。

この本に出てくる人たちも、大好きな人達ばかりで、

あれから30年、この人達の生き方を、少なからずもずっと無意識に

真似してきたような気がします。

④「悪の出世学 ヒトラー・スターリン・毛沢東」 中川 右介 (著)

いい人では立身出世は出来ない、権力者にはなれない。

こんな人、身近にいませんか?


 
  


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2014年04月19日

読書日記 特別編

素敵な本を読みました。

「ニューカレドニア 美しきラグーンと優しき人々」 著 前野 りりえ

著者は、南太平洋の珊瑚礁に浮かぶ美しい島、ニューカレドニアで

1年間、日本語教師として日本語を教えられていた。

この本は、タイムスリップしたかのような大自然と

その魅惑の島に住む心優しき人達と過ごされた著者が

綴るニューカレドニアガイドです。

たくさんの写真(これがまた美しく素敵である)を通じて紹介される

海、建物、花、木、果実などの自然とご馳走の数々。

どの写真も素敵だけど、その中でお気に入りは、そこに住んでいる人々の姿。

特に子供たちや、お年寄りの方々の表情が実にいい。

一緒に過した著者ならではの写真であり、笑い声まで聞こえてきそうである。

著者は先住民族のカナックや日本人の子孫などとも交流されていて

「地球上の最後の楽園、天国に一番近い島」と、よくあるようなガイドブックとは少々異なる、

買い物や青い海のガイドばかりじゃないニューカレドニア紹介本と言える。

ガイドブックだけれど、ただのガイドブックではない。

エピローグに書かれた最後の言葉が胸を打つ。

 勇気を出して開けたニューカレドニアの扉。そこで待ち受けていた数々の出会いは、
 わたしの未来を動かした。それはもう閉ざされることはない。なぜならそこに愛する
 人々が生きているから。
 
   


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2014年04月04日

読書日記 3月(2014)

3月の読書日記

①あの人この人―昭和人物誌/戸板康二

  江戸川乱歩、小泉信三、三島由紀夫、徳川夢声、有吉佐和子など
  昭和を彩った文化人34人の珍しいエピソードや著者だけが知り得た人間性。
  登場人物に興味がある人もない人も楽しめる。

②ぜいたく列伝/戸板康二

  一流の人物達のスタイル集。これはたまらなく面白い。。片岡仁左衛門(11代)、
  谷崎潤一郎、吉田茂、大倉喜七郎、西条八十、小林一三、鹿島清兵衛、益田太郎、
  西園寺公望。スタイルの深みにおそれいる。

③松本清張傑作選 悪党たちの懺悔録: 浅田次郎オリジナルセレクション

  短編小説の名手が選んだ、7つの名編。とにかく面白い。
  途中でやめられない。人欲洞察の傑作。

④昭和史発掘 新装版1/松本清張

  独自の取材と視点で松本清張の書いた昭和史。圧倒的な面白さ。
  変わらない人間の本性、欲望と欲望実現の方法のコントラストが秀逸。
  昭和の真実がここにある。


    
  


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2014年03月05日

読書日記 2月(2014)

2月の読書

①クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国/若桑 みどり

圧倒的読み物、がとんでもなく面白い。16世紀の日本(信長・秀吉の時代)に

 来た ヨーロッパのキリスト教宣教師と日本からヨーロッパに向けて旅たった

日本人宣教師たちの話である。

タイトルの「クアトロ・ラガッツィ」とは「4人の少年」のこと。学校の歴史の授業で

習った1582年の天正遣欧少年使節団のこと。

歴史好きな方に特にお薦め。

②地ひらく 石原莞爾と昭和の夢/福田 和也

関東軍参謀として満州事変の首謀者、石原莞爾の生涯を描いた作品。

 と同時に大正から昭和初期の世界の政治・社会情勢についても書かれている。

 石原莞爾については賛否両論あるが、わたしは昭和の軍人の中では一番好きである。

ちょっと偏ってはいるが、この時代に興味がある方は他の本も読んで解釈してください。

③その他
 
  内田樹の各書・・・・・例によって議論展開が巧みで面白い。



  


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2014年02月12日

読書日記 1月(2014)

今まで映画はたくさん観てきたと思っていた。

本もたくさん読んできたと思っていた。が

観ていない映画がたくさんある、読んでない本がたくさんあると思い

今年から本を読もう、映画を観ようと軽い決心をした訳です。

映画もケーブルTVやDVDだけではなく、なるべく劇場に出かけようと。

で、1月に読んだ本の中で気にいったものを書いてみます。

ちなみに映画は観てません。(早くも挫折か)

1.おそめ /石井妙子  (新潮文庫)

かつて銀座に当時の著名な知識人、粋人たちのたまり場になった伝説のバーがあった。
その名は「おそめ」。そこに集まる客筋は白洲次郎・正子夫妻、川端康成、大佛次郎、服部良一、
 門田勲、大野伴睦、川口松太郎、里見トン等々。あげていくとそれはそれは昭和のスターの方々。
 マダムは元祇園芸妓で、この本の主人公「おそめ」。本名は、上羽秀(うえばひで)という。
 小説のモデルとなり、並はずれた美貌と天真爛漫な人柄で、またたく間に頂点へと駆け上るが、
 やがて意外に早い凋落が。秀は言う。「物もお金も残す気持ちなんかありまへん、うちが残したいのは
 名前だけです。」そして、確かに秀は物もお金も残さなかったが、一代限りの伝説を残した。
 この本には、理屈抜きの商売の面白さ、楽しさ、美しさ、難しさ、怖さ、深さ、哀しさがある。
 私が一番すきなこの本のラストがまたいい。哀しくも美しく生きた半生、お薦めです。

2.大滝秀治写文集 長生きは三百文の得/大滝 秀治 (著), 谷古宇 正彦 (写真)

 大好きな俳優・大滝秀治さんによる語り下ろし写文集。
  「自身の上に自惚れがある。謙虚の下に卑屈がある。自惚れは自信過剰、卑屈は謙虚の下。」
  う~ん素晴らしい。心に書きとめておきたい。

その他読んだもの 白川静、内田樹、宮藤 官九郎、松尾 スズキなど々。

現在これを読んでいます。長いけど、とんでもなく面白い。

クアトロ・ラガッツィ (上) 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)

  


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2013年08月21日

高峰秀子という生き方

連日とにかく暑い。例年からすれば異常な温度である。

来年から地図の赤道は、沖縄上に描かれるらしい。(ウソです)

そんな暑い日の中、お盆は何日か休みを取った。

まとまった休みの日は、必ず本を数冊読むことにしている。

今回も図書館から6冊程借りてきて、朝から読書三昧の日々でした。

その借りてきた数冊の本はどれも良かったが、なかでも

特に良かったのが「最後の日本人」(著 斉藤明美)である。

今、日本にはかってたくさん居たと思われる人達がどんどんいなくなっている。(自分自身も含めて)

それは忍耐、努力、信念、謙譲、潔さ等を兼ね備えた人達。

日本人の美徳と思われたものを持った人達。

この本は「こんな人がどんどんいなくなってしまう。」と思われる人達へのインタビュー記事である。

登場するのは各界の方々25名。その冒頭を飾るのが昭和の大女優 高峰秀子さんである。

高峰秀子  
1929年(昭和4年)に映画『母』への出演で子役でデビューして以降、
戦前・戦後を通じて日本映画界で活躍した大スター。1979年(昭和54年)に女優を引退した後には
エッセイストなどとしても活動。

正直言って、私は彼女のことはそんなに詳しくなかった。(しかし高峰三枝子や前畑秀子との

違いぐらいは分かったいた。)自分にとって、昭和の女優は日活の女優さんたちであり、

他で好きな女優さんは、杉村春子さんと沢村貞子さんだけであった。

何百本と主演してあるにもかかわらず、観た映画は3本ぐらいかな。(「浮雲」「女が階段を上る時」
「名もなく貧しく美しく」)

「二十四の瞳」の優しくて凛とした大石先生も、「カルメン故郷に帰る」の純粋で

憎めないおきんも知らなかった。

この本を読んで、高峰さんの生き方、考え方に非常に興味を持った

その後、高峰教の伝道師、ザビエル斉藤明美女史の著書を数冊読み、益々

「女優高峰秀子」ではなく、「人間高峰秀子」に興味を惹かれることになった。

高峰さんは、女優だけではなく、素晴らしい著書も何冊も残してある。

現在それを食い入るように読んでいます。まだ数冊しか読んでいませんが

ユーモアとペーソスあふれる珠玉の本だと思います。

これからもいろんな事があるでしょう。そんな時に

高峰さんだったら「どう考えるだろう」「どう行動するだろう」と考えるかな。

そしてそれが、無意識の中で自分という人間の血や肉と

なっていくことになれば・・・。

(但し、その考え方はすべて正しいとは思えない。反面教師の部分もある。
 彼女の考え方は、彼女が歩んできた特殊な、稀有な人生に
 よるものだと言えるからである。これは彼女やザビエル斉藤さんの
 本を読めば解る)

ある意味素敵な方に会わせていただいた(本のうえで)斉藤明美さん

(今は高峰さんの養女になられている)に感謝です。

そして「高峰秀子という生き方」に出会えたことに感謝します。  


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2011年01月08日

コリン・パウエルのルール

コリン・パウエル氏という人をご存知ですか。

貧しい移民の子供から、アメリカ・ブッシュ政権でアフリカ系アメリカ人として、

初の国務長官となった人である。(ご存じだったら恐縮です。)

謙虚ながらも強い心を持ち、人種差別や戦争の辛さをはねのけ、祖国のため力を

尽くされた方である。

そのコリン・パウエル氏の13の自戒の言葉として「コリン・パウエルのルール」

いうのがある。

今日はそのうちのいくつかを紹介します。


 「何事も思っているほどは悪くない。朝になれば状況は良くなっている。」

 「選択には細心の注意を払え。それが現実になるかもしれない。」

 「良い決断をしたら、それをくじくような事実にも挫折してはならない。」

 「誰かのかわりに選択することはできない。誰かに自分の選択をさせるべきではない。」

 「常に冷静に、かつ親切であれ。」

 「恐怖心にかられて悲観論者のいうことに耳を傾けるな。」

 「常に楽観的であれば、力は何倍にもなる。」

                 「マイ・アメリカン・ジャーニー“コリン・パウエル自伝”」
                    コリン・L. パウエル、 ジョゼフ・E. パーシコ 著(角川書店)

本日お薦め

      


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2011年01月03日

伝説の呼び屋・永島達司

新年も3日目。
毎年必ず正月に読む本がある。もう何回も読んだ本である。
それは「ヤァ!ヤァ!ヤァ!ビートルズがやって来た―伝説の呼び屋・永島達司の生涯」
いう本である。
タイトルからしてビートルズ本かと思われるけど、そうではなくビートルズを
日本に呼んだプロモーター、永島達司氏の人物像に迫るノンフィクションである。
永島達司氏は、タツという愛称で海外のアーティストからも親しまれた
日本人プロモーターであり、コンサートの企画・制作の最大手、キョードー東京や
ウドー音楽事務所の創立者である。

海外の芸能関係者は永島達司氏のことを「日本でただひとりのインプロサリオ」と
呼んでいた。インプロサリオとはラテン語から派生した言葉で、もともとはオペラ
のプロデューサーをさした。
                      
「私の考えでは、タツ・ナガシマは日本の音楽業界にとってもっとも大切な存在
 でした。彼は日本の人々に西洋の音楽と音楽家を伝えました。彼以上にその事
 に秀でた人間を私は知りません。音楽の世界では彼は日本を代表する外交官だ
 ったのです。また、個人としての彼は最高の紳士でした。そして私の家族に
 とっても素晴らしい友人でした。」
 
         ~ポール・マッカートニーが永島達司氏の妻に送った手紙~ 
                                            
彼の交際の仕方というのは、常に人とは一定の距離を保つという原則を維持しな
がらも、相手が辛い時には一歩だけ近づいてやる。そして、相手が成功している
時には逆に一歩ひいてじっと見守る。彼はそれを五十年以上も続けてきた。

「一度、永島さんに、夢は何だったんですか、みたいなことを尋ねたことがある
 んです。すると、『夢?夢か。僕自身は特別にやりたいことは何もなかったん
 だよ』と答えられました。そうかもしれません。永島さんは才能があって、信
 頼の置ける雰囲気を持っていたから、人がたくさん集まってきた。集まってき
 た人達は良くも悪くも自分たちの欲望を永島さんにぶつけ、それをあの方は
 うまい具合に消化して形にしたんじゃないかな。永島さんという存在がいろいろ
 な仕事を実現させる力だったのだろうけれど、本人が何かのためにがむしゃらに
 突き進んだということはなかったように思うんです。」
 
                   以上 野地 秩嘉 著(幻冬舎) より抜粋

ビートルズ来日を実現し、世界中のミュージシャンから愛と信頼を集めるプロモーター、
また日本の音楽史を変えた伝説の呼び屋、永島達司氏。

ビジネスのやり方、人との交友の仕方等、とても真似の出来るものでないし目標とする
ことも出来ない。しかし、年の初めにこの本を読み、いつも頭の片隅に置いて忘れない
ようにしている。

 

【今日のひと言・ひとり言】
 著者の野地 秩嘉氏は好きなノンフィクションライターで「キャンティ物語」や
 「サービスの達人たち 」もおもしろい。  


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2010年06月25日

長崎オランダ村

仕事がら外に出た時は、11時40分位から13時30分位まで
何もすることができない。この時間帯に食事をすればいいのだが、
この時間帯はどこもお客が多く、1日の内、食事をした後にだけ
煙草を(フィルター付きのシガー)吸う私は、なるべく人が少ない
時間に食事をして、シガーを吹かすようにしている。
で、この時間帯は本屋で時間を潰すか、最近はブックオフで過すことに
している。昨日はとあるブックオフでいろいろ見ていると、いいものを
見つけた。今回はCDではなく本。しかも値段が105円。
その本は村上龍の「長崎オランダ村」。
彼の作品は大好きで、ほとんど読んでいると言っても過言ではないが、
特に好きだったのが「走れ!タカハシ」「テニスボーイの憂鬱」と
この「長崎オランダ村」であった。
この本、以前読んではいたのだが、またいつか読みたいとずっと思っていて、
よく行く、昔「スマッシュ11」というラジオ番組をやっていたアナウンサーが
館長の図書館で捜しいたがなくて、昨日ブックオフで見つけた時は、初恋の
人にでも会ったかのように嬉しかった。(しかし、初恋の人が105円であった)

この本は、村上龍を投影した主人公が高校の後輩に頼まれて講演のために長崎に行く。
物語のスタートは長崎空港にこの後輩が主人公を迎えに行くところから始まる。
講演の後に食事をしながら、後輩自らが手がけた
「長崎オランダ村 ワールド・ミュージック・フェスティバル」の話しを始める。
大半は二人の会話によって構成されている。
長崎弁で会話される、フェスティバルに集められた世界中の大道芸人やダンサーたちの
騒動顛末話が実におかしく、楽しい。しかしその会話の中には、いろんなテーマが
含まれており、日本人が日本にいては気付くことのできない世界観や文明観が見れる。
この騒動顛末話最後の「打ち上げパーティー」は感動的である。

まぁ、この本の一番のテーマは「楽しく人生を生きるには、どうしたら良いのか?」という
ことであろう。そのことを昔読んだ時にも思ったし、今回もあらためてそう思った。
あっという間に読めます、お薦め!

今日のお薦め



今日の推薦曲

Ojos de Brujo /Respira



  


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2010年02月18日

加藤和彦 「優雅の条件」

昨年10月急逝した加藤和彦。彼が遺した貴重なエッセイ集
「優雅の条件」を読んだ。
80年代、最も充実していた時期に生活の様々なことについて書かれた
本である。たとえばこんな項目、

 自分のスタンダードを持たねばならない。これを持っていると
 とても気持ちがいい。
 自分のスタンダードというのは、自分の好みと思っても良いのだが、
 好みといっても単にこれが好き、あれが嫌いということではなく、
 好きでありなおかつ心地よいということである。    ・・・・・「自分のスタンダード」

 優雅、もしくは優雅に見えるというのは生活を楽しんでいる人にだけ
 与えられる特権みたいなものである。
 生活を楽しむというのは、年中遊んでばかりいることではなく、仕事も
 楽しみ、遊びも楽しみ、食事などももちろん楽しみ、すべてを自分の
 意思でもって楽しむということだと思う。
 遊ぶために働くという考え方もあろうが、これでは働くという部分が
 楽しみではなくなってしまう。               ・・・・・「優雅の条件」

 とても加藤和彦みたいには生きられないけど、自分なりに優雅に生きていけば
 何か素敵なものに出会えるかもしれない。
 どんな時でも無理せず、人生で何が大切かを考え、自分を見失うことなく、
 自分らしく生きていけば。

  


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2010年01月31日

赤めだか

先週、木曜と金曜は東京と大阪への出張でした。
東京まで飛行機、東京から大阪へは新幹線だったので、
その間の時間、一冊の本を読みました。

『赤めだか』 立川談春・著

高校を中退して立川談志のもとに弟子入りした、立川談春による珠玉のエッセイ。
師匠・立川談志との数々のエピソード、師匠と弟子の愛、本当に素晴らしい本でした。

何も一切考えず、ただ憧れの談志についていった。
談志と弟子達の日々が、プロとしての自覚とは何か、そして人が人に
感謝して生きていくことの素晴らしさ、人間として大切なものは何かを教えてくれます。

豊な暮らしがあればそれだけでいいですか?
優しいだけの先生や上司がいいですか?

自分を魅了した師匠に、とことんまでついていく。そしてやがては、自分がその思想を
継いで、一流になっていく。

八十円の菓子ごときで泣きだす息子に親父はあきれ、しまいには怒りだし競艇場の売店で
あるだけのチョコフレークを買うと「全部喰え。ひとつでも残したら許さん」と僕に渡した
(中略)「菓子を欲しがるのは子供の権利だがな、権利を主張するなら義務がついて
まわるんだ。覚えておけ。ひとつも残さず喰え」
少年は、泣きながら権利と義務の因果関係を父から学ぶ。

新聞配達をしながら落語家の前座修業。そして兄弟子、弟弟子達との修行生活。

立川流は一家ではなく研究所である。研究所であるから飛びきり強い生命体も生まれるが、
その陰で驚くほどの犠牲も出る。実力、能力を優先した本当の意味での平等と自由はあるが、
残酷なまでの結果も必ず出る。それが談志の選んだ教育方法である

「たとえ前座だってお前はプロだ。観客に勉強させてもらうわけではない。あくまで与える
側なんだ。そのくらいのプライドは持て。お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えろ。
焦っていきなり話しだすことはない。堂々と見ろ。それができない奴を正面が切れないと
云うんだ。正面が切れない芸人にはなるな。

「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。メチャクチャだ。型がしっかりした
奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。どうだ、わかるか? 難しすぎるか。
結論を云えば型をつくるには稽古しかないんだ。

「お前に嫉妬とは何かを教えてやる」と云った。「己が努力、行動を起こさずに対象となる
人間の弱味を口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。
本来ならば相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし、人間
はなかなかそれが出来ない。嫉妬している方が楽だからな。だがそんなことで状況は何も
変わらない。よく覚えとけ。現実は正解なんだ。」

前座は修行期間中である。修行とは矛盾に耐えることである。修行はつらい。上の者が白い
と云えば黒いもんでも白い。

立川談志が談春の目の前で、誉めてやる、認めてやる、とまで云ってくれた。本望だ。
辞めなくてよかった、心の底から喜びが湧き上がってきた。

弟弟子が先に真打ちになり、拗ねている、甘ったれている談春。この一件での周りの反応が
おもしろい。彼を叱咤、激励するさだまさし、そして、彼の知らないところで考えてくれて
いる人達。

とにかく、おかしくて、哀しくて、笑いながら、涙を流しながら読んでいました。
本当にいい本です。

   


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2009年09月28日

坂の上の雲

ここ数ヶ月、近代国家の日本を作った人達の本を数冊読んでみた。
併せて昭和の陸海軍の名将と愚将の本も読んだ。
明治の人達は素晴しい人達が多いですね。
綺羅星のごときスターたちがたくさん出ています。
(それにひきかえ昭和の軍人達の愚かな事。中には素晴しい軍人もいます。)

無欲で、爽やかで、潔い。見返りを求めず、
「俺が、俺が」と自分を誇示しない。

NHKのドラマにもなっている司馬遼太郎の『坂の上の雲』はいいですね。
秋山好古、秋山真之の兄弟、そして正岡子規の3人を主人公に、彼らが明治と
いう近代日本の勃興期をいかに生きたかを描く壮大な物語である。

志し高く、自らを信じ、自分で目標を探し、道を決め、
自分らしく生きて駆け抜けたいった男達。


  楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、

  前をのみ見つめながら歩く。

  のぼってゆく坂の上の青い天に

  もし一朶の白い雲が輝いているとすれば、

  それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。

              『坂の上の雲』 後書きより  


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2009年02月28日

洋七とたけし

 洋七とたけし、洋七とはあの「がばいばあちゃん」の島田洋七。たけしとは、
 あの「ビートたけし」こと北野武。その島田洋七がたけしの事を書いた
 友情と愛情に溢れる本「俺の彼」を読んだ。
 
 ふたりの出会いから、漫才ブームの頃のふたり、そして、たけしが事件を起こし、
 芸能界から離れている時、石垣島まで会いに行き支えた洋七の事、ブームが
 終わった後、お笑い界のスターの地位から滑り落ち、長い低迷期時代の洋七を
 支え続けたたけしの事。
 楽しいときも苦しいときも、いつもそばにいたのは彼だった。

 ふたりの出会いの時がおもしろい。紹介したのは「やすし・きよし」の横山やすし。
 やすしが、ふたりを連れて行ったのは千葉の何の変哲もない食堂。ふたりを飲ませ
 食わせすると、やすしは突然出て行ってしまう。残されて待つふたりだが、やすしは
 いつまでたっても帰ってこない。結局、やすしは帰って来ず、しかたなくふたりは
 店を後にする。時計は12時を回り、終電はとっくになくなっていた。ふたりの所持金は
 洋七が500円、たけしが700円。タクシーにも乗れない。しかたなく
 東京までふたりは4時間以上、とりとめない話しをしながら歩いて帰った。
 
 洋七は言う。あの夜は不思議な夜だったと。普段は人を紹介するなどという面倒見の
 いいことは決してしないやすし師匠が、あの夜に限って何故、たけしを紹介する気に
 なったのか。洋七は洋七で、あの夜に限って師匠の誘いに乗ってしまったのか。そして
 やすし師匠は何故、ふたりを残して消えてしまったのか。あの晩、ふたりだけで4時間
 以上もしゃべりながら歩くということがなければ、ふたりは、ただの知り合いで終わった
 かも知れないと。

 人間の縁とはまったく不思議なものである。
 お互いを尊敬しているふたり、そしてふたりの深い友情と愛情を感じる本でした。

  お前と出会った仲見世の 煮込みしかないくじら屋で
  夢を語ったチューハイの  泡にはじけた約束は
  灯りの消えた浅草の    こたつ1つのアパートで
  
  同じ背広を初めて買って  同じ形のちょうたい作り
  同じ靴まで買う金はなく   いつも笑いのネタにした
  いつか売れると信じてた  客が2人の演芸場で

  1人訪ねたアパートで   グラスかたむけ懐かしむ
  そんな時代もあったねと  笑う背中が揺れている
  夢は捨てたと言わないで 他にあてなき2人なのに
  夢は捨てたと言わないで 他に道なき2人なのに

                ビートたけし 「浅草キッド」
 
  


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2009年02月05日

本はともだち(1月)

1月に読んだ本たち。
今年に入り、本を読む時間が減りました。(まずいネェ。)

①「ビジネス脳を磨く」       小阪裕司 著
  ただ「脳をこう鍛えよう」という本ではない。変わっていく時代の
  動きの中で、その時代とシンクロさせて、新しい社会では
  どのようなビジネス脳が必要とされているのか。どうすれば
  仕事がなくならずに済むのか。
  「感性とビジネスの第一人者」が、最新の研究と豊富な実践例で
  語る「さびないビジネス人」になる本。
 
②「高校野球に学ぶ流れ力」   手束 仁 著
  野球の試合を観ていると、「流れが変わったな」とか「流れはこっちだ」とか
  いうケースがしばしある。この「流れ」に気付くことは非常におもしろいことであり、
  野球に限らず、いろんな場面でこの「流れ」を感じることがあり、「流れ」をうまく
  つかみ、乗る事が成功のカギでもある。
  「流れ」によって生じる力、すなわち「流れ力」とでも表現できるパワーの存在が
  確かにある。
  「流れ」は目に見えないものでありながら、確実に一つの力となって、その人に、
  その現象に加速的に力をもたらすものである。(著者曰く)
  野球が好きな人、特に高校野球が好きな人にはわかりやすい。そうでない人にも
  お薦めの本。

③「静かに健やかに遠くまで」   城山 三郎 著
  城山三郎の諸作品の中からの、心に染みる会話や、じっくり考えさせる文章の
  数々を収めた文庫本。いつもポケットにしのばせといて、時折読みたい言葉である。

  「人生は謂わば一つの長距離走である。焦る必要はない。平らな心で一歩一歩を
   堅実に。最初から力の限る走る必要はない。急げば疲労をおぼえ、焦れば倦怠を
   招き易かろう。永い人生だ。急いで転んでもつまらい。」 (鼠)

        


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2009年01月02日

九州少年

 あけましておめどうございます。

 元旦から雪が降り、何か2009年を暗示するような天気でしたが、
 初詣に行き、贅沢ではないけど、平凡なお正月だけれど、
 無事にお正月を過ごせる自分は、なんて幸せな人間だと思っております。

 そんなお正月を迎えながら、年末に読んだ甲斐よしひろが書いた本、
 「九州少年」をまた読み返していた。

 父、母、田舎、プロレス、レコード、テレビ、博多雑煮、西鉄ライオンズ、
 街の灯り、歌謡曲、友だち、ヤング720、自転車、映画等々。
 少年・甲斐よしひろを彩る出来事。そして、その出来事の向こうに
 「昭和」という時代背景が流れていて、その時代を浮き彫りにする。

 自分も少し離れた町で、彼とまったく同じように生きてきた。
 同じようなことを経験し、同じように感じて生きてきた。
 いろんな人と出会って、たくさんの人の愛情にふれ、
 人というものを知り、懸命に「昭和」の時代を生きてきた。
 そう思いながら読んでいると、何故か涙が溢れてきた。

 日本人が懸命に働き生きてきた「昭和」。
 貧しくとも、家族の愛情と強い絆があり、
 人と人との温かいふれあいがあって、
 そして小さな幸せがあった「昭和」。

 いい時代になる事を祈りながら新年を迎えています。

 本年もどうぞよろしくお願いモーし上げます。(牛年です。)


 今日のお薦め
   「九州少年」    甲斐 よしひろ (著)
 
     


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2008年12月07日

本はともだち(11月)

 ちょっと遅くなりました、11月に読んだ本たち。

 ①コンサルタントの「質問力」・・・・・・野口吉昭
   会議で質問したいがなかなか聞けない。また的外れな質問をするお馬鹿さんが
   いる。優れた質問力は、多くのビジネスに求められている。
   著者曰く、
   いい質問は、いい空気を作るし、いいコミュニケーションを作る。
   いい質問は、相手を元気付けるし、楽しくさせる。いい質問は、相手を動かし、
   成果を出すプロセスを作る。

   確かに、質問を聞けばその人のレベルが分かるというものだ。
   この本は、「質問力」を磨き、仮説力・本質力・シナリオ力を
   ビジネスに活用できるヒントになる。

 ②野村再生工場 ・・・・・・野村克也
   野村監督の人材育成論。ボヤいても、限られた人材で勝負する。
   我々は人間と仕事している。機械と仕事している訳ではない。
   いかに「気付かせ」、そして「考えさせ」、結果を出させて、成長させる。
   それが本人の為になり、組織の為になる。
   しかし、人を叱り、褒め、教えていくことは難しいが、自分の成長にもなる。

 ③夜中の薔薇 ・・・・・・向田 邦子
   子供の頃大好きだったドラマの脚本はすべて向田 邦子だった。
   「七人の孫」、「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」 そして、
   大人になっても彼女のドラマが好きだった。
   向田さんの脚本のドラマは、観た時の年齢によって感じ方が違うと思う。 
   どのドラマも、それぞれの年齢の人の心に響く。
   最近彼女の本を読むようにしている。この本も印象に残る本であった。
  
  「長い人生でここ一番と言うときにモノを言うのは、ファッションでなくて、ことばではないのかな。」
   う~ん、するどい!温かくやさしい言葉が満載。

        


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2008年11月01日

本はともだち(10月)

 暇な秋の夜にお供した本たち。

 ①「編集者という病い」・・・・・・・・見城 徹 (著)
   創業13年で13作のミリオンセラー、忽然と出現した奇跡の出版社、幻冬社。
   その出版社を率いる男の激烈な半世紀。
   編集者という仕事に興味があったし、その編集者見城 徹氏にも興味もあったが
   それ以上に一緒に仕事をしてきた人達(石原慎太郎、安井かずみ、山際淳司、
   尾崎豊、中上健次、坂本龍一、松任谷由実、村上龍、鈴木いづみ、浜田省吾等)
   に興味があって読んだ。
   仕事に対する取り組み(身体で、言葉で、自分の全てをもって彼らと向き合う)、
   には参考にさせられた。(しかし、まねは出来ないね。ぼくには)
   また彼には単に情熱だけではなく、用意周到さも持ち合わせている。
   彼曰く、「天使のように大胆に、悪魔のように細心に」。
   また彼は言う。
   「顰蹙(ひんしゅく)は金を出してでも買え!!」
   編集者は凄すぎる。 

 ②「大事なことはみんなリクルートから教わった」・・・柳谷 杞一郎 (著), 藤田 久美子 (著)
   リクルート出身の人と何人か仕事をした事がある。みんな不思議な人達である。
   そして実はあまり私とは合わない。
   という訳でリクルートとはどういうところなのか興味がありこの本を手に取った。
   この本はリクルートから独立・起業した経営者11人へのインタビューを通し、
   リクルート出身者が創造性、先見性など「ビジネスに必要な知恵」をどう
   培ったかが書いてある。
   入社した人材はすぐに責任ある仕事を任される。誰からも指示はされず、
   自分で考え、工夫しなくてはならない。失敗のペナルティーはないから、 
   新しいことにチャレンジしやすい。そして、一人ひとりの社員を“物語の主役”に
   仕立てる仕掛けが100種類近くも用意されている。
   こうして磨かれ、鍛えられた人材が独立し、各分野で活躍しているという訳。
   リクルートがどういう企業なのか、そこで働いている人がどういう人なのかを
   知ることが出来ました。

 ③「パクる技術」 ・・・・・・斎藤 広達 (著)
   世の中には昔から古今東西「天才」と呼ばれる人達がいる。彼らは全然
   違う生き物である。私達とは持って生まれ持った才能が違う。残念ながら
   私達は天才になることはできない。しかしすごい人にはなれそうである。
   努力して自分の少しの才能を伸ばす事はできそうである。そのための手法が
   「パクる技術」である。本書ではその手法を数多くの事例をひも解きながら
   紹介されている。著者は言う。
   「パクることはネガティブではない。立派な戦略である。」そして
   「オリジナリティーという名の幻想、そして現実としてのオリジナリティー」
   しかし、どこかで見られるような「猿真似」はいただけない。

 ④「MURAKAMI―龍と春樹の時代」・・・・・・清水 良典 (著)
    記事「MURAKAMI」参照

      


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2008年10月14日

MURAKAMI

 日曜、祝日と連休だったので、一気に本を2冊読みました。
 その内の1冊「MURAKAMI」の紹介。

 「MURAKAMI」とは、76年「限りなく透明に近いブルー」でデビューした村上龍と
 その3年後に「風の歌を聴け」でデビューした村上春樹の二人。
 その二人の作品を、時代別に対比させて比較しながら、その時代精神を論じている。
 二人ともデビューの時から、時代の変化を洞察し、新しい生き方を問い続けてきた。
 そして今も二人は、対極的と言っていいぐらいそれぞれのヴィジョンをそれぞれの
 方法で描いている。
 
 著者は言う。

  「そのときの二人が共有した問題意識や、時代の視線が、そのまま私たちにとっては
  自分が生きた時代を映し出す鏡である。そしてそこに私たちもいたのだ」と。
  
 春樹のファンの方も龍のファンの方も、そしてお二人のファンの方、よかったら。

 しかし、自分は「限りなく龍に近い私」であります。

 MURAKAMI ― 龍と春樹の時代 (幻冬舎新書) ・・・・・・清水 良典 (著)

   


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2008年09月30日

本はともだち(9月)

9月もあっという間に終わりました。9月に読んだ本たち。

①「名短篇、ここにあり 」 ・・・・・・・北村 薫 ・ 宮部 みゆき編
  日本には面白い短編は数々あります。その中で本の目利き二人
  (北村 薫 ・ 宮部 みゆき)が迷い、悩み、選び抜いたとっておきの
  お薦め短編12篇。
  半村良、黒井千次、小松左京、城山三郎、吉行淳之介、山口瞳等々の
  作家の面々。日本を代表する作家の意外な逸品、何か胸に残る味わい深い
  短篇が揃っています。
  城山三郎の「隠し芸の男」がいい。身につまされ、やるせない気持ちになる。
  そしてふたり(北村 薫 ・ 宮部 みゆき)が語り合う巻末の「解説対談」。
  これがまたいい。

②「マネー・ボール」 ・・・・・マイケル・ルイス (著)
  今年も、松坂、イチロー、その他たくさんの日本人選手が活躍したメジャーリーグ。
  そのメジャーリーグの球団アスレチックスの年俸トータルはヤンキースの3分の1で
  しかないのに、成績はほぼ同等。それはゼネラルマネージャーのビリー・ビーンの
  革命的な考え方にある。
  その考え方には、斬新なアイデア、人の活かし方など知的興奮を覚える個所が多い。
  マイケル・ルイスが書きたかったのは頭の使い方、ものの考え方だったと思う。
  「金を使わなくとも強いチームは作れる」。

③「バカ社長論」・・・・・・山田 咲道 (著)
  バカ社長、ダメ上司の行動が会社を破壊する。会社は、社員と社会から生かされている。
  社長も会社の歯車のひとつ。
  本書を貫く筆者の理論。
  ・すべての仕事に理論がある。
  ・人は感じて動く動物である。
  ・会社は人の集合体である。
  バカ社長に限らず、他人の意見に耳を貸さない、人を信頼しないバカが問題を起こす。

④「プロ野球 人生の選択」・・・・・二宮 清純 (著)
  誰にでも「人生の選択」のときがある。自らつかみ取る「選択」もあれば、「選択させられる」
  こともある。プロ野球選手にとっての「人生の選択」について描いた作品である。
  プロ野球選手にとって「人生の選択」とはなにか。そして彼らの選択すなわち生き様が、
  一般社会に生きる我々にいろいろな示唆を与えてくれる。
  一見才能があれば通用するように見えるプロ野球の世界でも、その才能を開花させるには、
  本人が自分を冷静に客観視できること、そして優れた指導者と巡り会うことが必要である。
  (球団の事情や監督やコーチとの相性、使われ方の運、不運等に大きく左右される)
  プロ野球だけに限らず、人生で大切なのは人との出会いである。

⑤「自分の事は棚に上げて 」・・・・・吉田 拓郎 (著)
  吉田拓郎の珠玉のエッセイ42篇。
  拓郎自身の事。愛すべき仲間達と美しき女性達の事。吉田家の事(愛する妻、母、そして亡き父)。
  拓郎は私にとって永遠の憧れの存在です。
  柴門ふみによる解説もいいね。

     

      


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2008年08月25日

本はともだち(8月)

 2008年8月、いろいろと忙しかった月でありました。
 (まだ終わってないけど)

 その8月に読んだ本たち。

 ① 「人物を読む日本中世史」 ・・・・・・本郷和人
    中世は朝廷と貴族が没落していき、「武士」が興隆してきた時代。
    そんな時代に大きな足跡を残した8人。頼朝から信長へ。
    人物から視る日本中世史。
    特に法然の章が良い。
    名もなき人々の救済を目標とし、既存の強力な価値観と戦いながら
    一生それを追い求めた法然。そういう生き方を貫くことがいかに困難なことか。
    人間として法然を深く尊敬する。

 ② 「あぶく銭師たちよ!」昭和虚人伝 ・・・・・佐野眞一
    あの泡立つような狂乱の時代。「バブルの時代」。
    その「バブルの時代」に、強烈なカリスマ性や驚くべき錬金術によって頂点を
    きわめた6人の男女の狂気と醜悪さに満ちたおぞましい人間像。
    まさしく「バブルの時代」ならでは産物。
    人間は50億手に入れたら、100億欲しくなるものです。

 ③ 「阿片王」 満州の夜と霧 ・・・・・・佐野眞一    
    戦前の満州そして上海で、時代の狂気そのままの暴徒を重ね、「阿片王」の
    名をほしいままにした里見甫。
    その生涯を克明に掘り起こしたノンフィクション。
    まさしくロックな人生そのもの。当時の上海で生きてみたかった。

 ④ 「プロ野球の一流たち」 ・・・・・・二宮清純    
    プロ野球の監督の極意、一流のプレイヤーたちの技術とその奥義。
    どんなビジネス書より、実際のビジネスに役立つ話しばかり。
    野村監督の配給学、工藤のバッテリー論、中西の強打者育成術等々。
    しかし、野球が好きな人、また実際のビジネスに応用できるように考えられる
    人でないと単なる野球物の本で終わる。

       


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2008年05月30日

「社長 島耕作」

 「課長  島耕作」が遂に、社長になった。最初から読んでいる
 私にとっては、「う~ん」という感じ。こんな展開になるとは・・・・。
 まぁ人それぞれ意見はあるでしょうが。
 
 そんな時、今日買った雑誌「プレジデント」の特集の中にこんな話しが。

 この方は、会社に入社以来「マージナルマン」という言葉を自分の胸に
 刻んできたそうだ。
 「マージナルマン」・・・・日本語に訳せば「境界人」だそうだ。

 片足は自分が帰属する組織(企業)に置き、もう一方の足は組織外の
 場(社会)に置く。どちらも腰掛ではなく、片方の軸足でしっかり組織の
 人間として立ち、帰属する組織のなかで信頼され評価されるだけの
 仕事をこなす。同時に、もう片方の軸足を組織から離れた場所に置き、
 組織を離れても通用するような専門性を高める。そのために社外の
 ネットワークを構築し、社会的にも評価されるようになる。
 それが「マージナルマン」だそうです。・・・・・・「プレジデント 6.16号より

 島耕作も途中までそのようなサラリーマンだったような気がするが
 ちょっと違うかな。

 でも尊敬される企業人というのはそういう人だろう。
 自分もサラリーマンの端くれだが、かなり遠いですなぁ。
 
   島耕作セット  (全39巻)  


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2008年04月26日

用事のない生き方

 20年振りぐらいに、ある方と会いました。
 私より5つ年上で、ホテルのバーに現れた彼女は
 相変わらず痩せていて、化粧気がなく、素敵な方だった。
 飲みながらいろんな事を話していると、ついつい仕事の
 話になり、「なんか自分のいる場所じゃないんだよね。」と言うと
 彼女はこう言った。
 「あんた、村上龍の『映画小説集』という小説読んだ?あんたのことだから
 当然読んでいるよね。その中で、あったでしょう。…本当は誰だってどこにも
 行くところなんかないわけじゃない、そんなことを考えずにすむような何かを
 探さなきゃいけないわけでしょ?行くところがあるって言ったて、それは用事が
 あるだけで、そこへ行けって命令されている。
 それをやっていればどこにも行かなくって済むっていうものを見つけなさい、
 それができなければあんたは結局、行きたくもないところへ行かなくては
 ならない羽目になるわけよ。…っていうところ。」
 「今からでも、どこにも行かなくって済むものを見つける?」

 用事のない生き方をしてきたと思える彼女は、そう言って楽しそうに
 昔と同じように笑った。

 「村上竜映画小説集」  
   


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2008年03月30日

ショーケン

 萩原健一の自叙伝「ショーケン」を読みました。

 僕ら昭和の時代に育った子供達の最大の楽しみは、TVであった。
 今みたいに、iPODもDVDもなく、映画もそんなに観に行くことも
 許されない時代に、TVから聞こえてくるアイドル達の歌声と、ブラウン管
 の向こうの世界はあこがれの世界であった。
 
 たくさん観てきたドラマの中で、個人的にベスト5に入るのが、「傷だらけ
 の天使」と「前略おふくろ様」である。その作品の主役がショーケンこと
 萩原健一である。

 この本から、萩原健一という人は非常にストイックで、純粋な人であり、
 あまりに熱心な為に時として周囲と摩擦を起こすのですが、その情熱は凄い。
 狂気さえ感じる。自分がいい仕事をしたいがために、いろいろとスタッフ等に
 口出しもする。しかしそうできるのもよく勉強しているためで、実際に多くの
 映画も観ているし、たくさんの本も読んでいる。だからいい加減な他人が
 許せないし、自分がとつい気負ってしまう。
 しかしこれだけの熱意を持って仕事をしている人がどれだけいるだろうか。
 それだけ懸命に生きているということであろう。

 また、この本に書かれているいろんなエピソードから、ワルでありながら真面目な、
 優しい性格も兼ね備えているショーケンが伝わってきます。そんな性格が女性
 にも、男性にも魅力を持たれるのだろう。

 セックス、ドラッグ&ロックン・ロール 
 ロックそのものの人生を歩んできた、生真面目な不良少年「ショーケン」。

 彼のファンでよかった。

     


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2008年03月20日

普通の女の子として

山川健一さんが紹介していた、香川水菓子さんの、
 『普通の女の子として生きにくいあなたへ』 を読んだ。

 本当に、詩集みたいで、次のような印象的なフレーズがあった。

  ・週末は何も解決しない。むしろ悩みを深くする。

  ・別れる理由のほとんどは、「飽きた」でいいんじゃないか。

  ・変に期待したり、不安になったりすることがないから幸せと思うのかもしれない。

  ・涙を流すといつのまにか殻がむかれ、つるつるした、ゆで卵みたいになっている
   感じがする。細かい殻も最後の薄い膜も、洗い流されている。

  ・分かったふりをされるほうが、むしろ溝は深くなる。

  ・流れ星みたいに通りすぎるものを、人は幸せと呼ぶ。

  ・つき合っている二人は、だいたいどこか似たところを持っている。
   干渉しない女には干渉しない男。仕事にはまった男には仕事にはまった女。
   「この人じゃないだろうな」と思っている女には、「この人じゃないだろうな」
   と思っている男。自分で思い当たることばかり。こわすぎる。


  香川水菓子さんっておいくつ位の女性なんだろう。(女性の歳を聞くのは失礼ですけど)
  彼女の視点がするどいし、何度もうなずいてしまいました。

  『女の仕掛け』 もだけど、この本も女性が持っている脆さや切なさやしたたかさを、
  教えてくれました。

     


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2008年03月04日

女の仕掛け

 『女の仕掛け』(檀れみ)という本が出ています。
 “賢女のワル知恵”という帯コピーが付いている。

 女の人が理想的な結婚をするための「仕掛け」を紹介しているのだが、
 たとえばこんな項目がある。

  仕掛けワザ
   合コンよりもお食事会
   「"お食事会"は恋愛に発展しなくても人脈を豊かにする」
   つまらない男は背中ではねのける
   「軽く口説かれる女には、それなりのワケがあると気付いているか?」
   男の意見は否定しない
   「どっしり構えて、男に与え続けてもらえる女になる」
   「ここ知ってる」は禁句
   「男は"知っている"発言に"男の影"を感じている」
   女は仕掛け、男がキメる
   「確実な仕掛けをしつつ、男に"俺が落とした"と思わせる」
   電話&メールで本命の座を不動に
   「男に、毎日の電話やメールは必須だと心得させる」
   男が“必要”とする女像
   「デキる男になったつもりで、理想のお嫁さん像をイメージしてみる」
                                    (『女の仕掛け』より)

 この本を読んだ男性の方は、「やっぱり、女はコワイ」などと思うのか、女の人に
 仕掛けられているうちが花って思うのか。、女性の方は「今の時代だから、
 女も仕事」なのか、それとも「やっぱり女だから、結婚」なのか。
 てなわけで、男性の方にも、女性の方も、おススメの一冊です。

     


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