2009年02月28日

洋七とたけし

 洋七とたけし、洋七とはあの「がばいばあちゃん」の島田洋七。たけしとは、
 あの「ビートたけし」こと北野武。その島田洋七がたけしの事を書いた
 友情と愛情に溢れる本「俺の彼」を読んだ。
 
 ふたりの出会いから、漫才ブームの頃のふたり、そして、たけしが事件を起こし、
 芸能界から離れている時、石垣島まで会いに行き支えた洋七の事、ブームが
 終わった後、お笑い界のスターの地位から滑り落ち、長い低迷期時代の洋七を
 支え続けたたけしの事。
 楽しいときも苦しいときも、いつもそばにいたのは彼だった。

 ふたりの出会いの時がおもしろい。紹介したのは「やすし・きよし」の横山やすし。
 やすしが、ふたりを連れて行ったのは千葉の何の変哲もない食堂。ふたりを飲ませ
 食わせすると、やすしは突然出て行ってしまう。残されて待つふたりだが、やすしは
 いつまでたっても帰ってこない。結局、やすしは帰って来ず、しかたなくふたりは
 店を後にする。時計は12時を回り、終電はとっくになくなっていた。ふたりの所持金は
 洋七が500円、たけしが700円。タクシーにも乗れない。しかたなく
 東京までふたりは4時間以上、とりとめない話しをしながら歩いて帰った。
 
 洋七は言う。あの夜は不思議な夜だったと。普段は人を紹介するなどという面倒見の
 いいことは決してしないやすし師匠が、あの夜に限って何故、たけしを紹介する気に
 なったのか。洋七は洋七で、あの夜に限って師匠の誘いに乗ってしまったのか。そして
 やすし師匠は何故、ふたりを残して消えてしまったのか。あの晩、ふたりだけで4時間
 以上もしゃべりながら歩くということがなければ、ふたりは、ただの知り合いで終わった
 かも知れないと。

 人間の縁とはまったく不思議なものである。
 お互いを尊敬しているふたり、そしてふたりの深い友情と愛情を感じる本でした。

  お前と出会った仲見世の 煮込みしかないくじら屋で
  夢を語ったチューハイの  泡にはじけた約束は
  灯りの消えた浅草の    こたつ1つのアパートで
  
  同じ背広を初めて買って  同じ形のちょうたい作り
  同じ靴まで買う金はなく   いつも笑いのネタにした
  いつか売れると信じてた  客が2人の演芸場で

  1人訪ねたアパートで   グラスかたむけ懐かしむ
  そんな時代もあったねと  笑う背中が揺れている
  夢は捨てたと言わないで 他にあてなき2人なのに
  夢は捨てたと言わないで 他に道なき2人なのに

                ビートたけし 「浅草キッド」
 


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Posted by Hirao club at 00:15│Comments(6)
この記事へのコメント
何気なく見たあなたのブログでした。
ゆっくりあとで拝見。とりあえずコメント
私より若いあなたの映画の思い、感想、・・・
いいなあと引き付けられる様に読みました。
楽しみに訪問したいです。
Posted by 月の光月の光 at 2009年03月01日 17:44
月の光 様
はじめまして、コメント有難うございます。
また、よろしかったら訪問して下さい。
Posted by Hirao ClubHirao Club at 2009年03月01日 18:44
煩悶を忘れるわけではない彼が氏の悩みは彼に対してあまり重く、悔しい。
Posted by Air Jordan Fusion 3 at 2011年02月22日 11:30
コメント有り難うございます。
In something a deep word, understanding is difficult.
Posted by Hirao ClubHirao Club at 2011年02月22日 21:16
ありがとう
Posted by wedding dresses at 2011年09月19日 12:46
どなた様かわからないですが、
ご訪問またコメント有り難うございました。
Posted by Hirao clubHirao club at 2011年09月19日 21:02
 
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